肥満と糖尿病と歯周病
高齢化社会になり、歯科医院を訪れる方がたも無病息災の方は少なくなっています。 中でも糖尿病は治り難く、進行すれ腎症、網膜症、神経症、脳梗塞など重い病気を引き起こし、また感染しやすい体質となる厄介な病気です。
驚いたことには、肥満と糖尿病、歯周病がお互いに繋がっていることです。
糖尿病とは、一口に言えば血液中のブドウ糖が増え過ぎ、それを受け取る全身の細胞ガ狂ってしまう状態です。血糖値を調節する膵臓のホルモンーインシュリンの分泌不足がよく知られていますが、受け手の細胞がうまく糖を取り込めない(インシュリン抵抗性)場合もあります。
最近、脂肪細胞から炎症を引き起こすサイトカイン(TNF−α)が分泌され、脂肪細胞を多く持つ肥満の方はインシュリン抵抗性と深い関係にあることがわかりました。
歯周病は歯肉溝(歯周ポケット)に病原菌が住みついて絶えず炎症性物質を出しています。図のように、肥満と糖尿病と歯周病は、互いに炎症性物質をやり取りして影響しあっています。
糖尿病を治療せず、血糖のコントロール不良では、歯周病は悪化します。また歯周病を放置すれば糖尿病も悪化します。逆に血糖がコントロールされれば、歯周病も治りやすく、歯周病を治すことで糖尿病が改善されました※。
肥満は遺伝的体質もありますが、食生活や運動の影響が大きいことはよく知られています。良く噛み、良い食習慣は肥満を防ぐ決め手です。歯周ポケットが5ミリあると、その廷面積は手のひら一杯くらいになり、分泌される炎症性物質は全身に影響する量となります。
歯周ポケットを常に清潔な状態に保つことで糖尿病を改善させ、全身の健康維持に役立つことになります。よい食生活と口腔清掃は予想以上に大切で改めてうまくいっているか確かめましょう。
※平成15年度『厚生労働科学研究』報告書より

むし歯・歯周病の治療そして予防の歴史
意外とその歴史は古く、むし歯の治療法は、はるか紀元前3500年頃のメソポタミアシュメール文明のギルガメッシュ(粘土板)に見出されます。
それによるとむし歯は、目では見ることのできない『虫』によって引き起こされ、むし歯になった歯には、その穴に薬草(ヒヨス)の粉末と乳香(植物の樹脂)を練って詰めるといった治療法が紹介されています。
驚くべきことにこの薬は、現在の科学的分析の結果、現実に鎮痛効果という薬理作用があったと分かっています。ただの『おまじない』ではなかったことがすごいですね。
また、同じく紀元前3000年頃の古代エジプト文明においても、その残された壁画に歯科医らしき人物と患者さんとおばしき人、そして治療器具が描かれています。古代より人々は、むし歯や歯周病に悩まされていたようです。
実際、最近のミイラ研究で明らかになったことは、古代エジプト歴代ファラオの死因の中で事故死や毒物死などは別として、病死で多かったのが『むし歯』や『歯周病』が原因になって起こったであろう菌血症、敗血症によるものだそうです。
ファラオの食生活は、庶民と違い加工食品を中心とした贅沢三昧を極めたものだったので、今でいうところの生活習慣病とも緑が深かったのかもしれません。
現代に生きる我われも、過去の歴史に学び、注意しなければなりませんね。そして、予防について初めて記述のあるのが、紀元前3000年頃の古代インドです。初めて歯ブラシの原型といえる房楊枝(小枝の先をつぶしてほぐしたもの)が出てきます。古文書に、房楊枝を使って口の中を磨き清潔に保たれれば、病気になりにくいとの記述があるそうです。もちろん、かのお釈迦さまも愛用していました。
このように、人間とむし歯・歯周病の治療・予防の歴史は5500年にも永きにわたり綿々と続いています。 しかし、いまだに克服できずにいるのは、なにか不思議な気がしますね。

メタボ〜あなたは大丈夫?
近年いたるところで、メタポリックシンドロームという言葉が聞かれますね。内臓に脂肪がたまり過ぎ、動脈硬化を早め心筋梗塞や脳梗塞の引き金となり、運よく一命を取りとめても重い障害が残ることが少なくありません。
診断の基準は腹囲(ヘソまわり)が男性85cm以上、女性90cm以上、それに加えて中性脂肪150mg/dL以上、またはHDLコレステロール40mg/dL未満か高血圧(上130mmHg以上/下85mmHg以上)か、空腹時血糖値110mg/dL以上のうち2つ以上がある場合となっています。
予防と治療と言えば、誰もが食事療法と運動療法と答えます。確かにすばらしいダイエット食やヘルシー調理法、三日坊主にならないエクササイズ法など成功例が紹介されています。しかし、数カ月の成功例では安心できません。世の中には食欲をそそる有名レストランやお菓子が絶えず誘惑しています。若い女性の方には、スタイルのため無理なダイエットをされる方もあるようですが、一生続けることは難しいのではないでしょうか。中年を過ぎると、年齢とともに基礎代謝量が減り、運動量も少なくなるにもかかわらず、食習慣は変わらず、食べるのが楽しみとなります。メタボは日常生活を通じ一生離れないのです。
最も確かな解決法は、よく噛んで食事を楽しむことです。よく噛むとだ液も多く分泌され、噛む運動が脳の満腹中枢を刺激して、血糖値も上がり空腹感が消え、少ない食事量で満足感が得られます。
咀嚼(そしゃく)は反射的な行為ではなく、学習で覚えた意識行動で幼児から教えることが大切ですが、いつからでも学習できます。
無理のない暮らし方で、長続きすることが大切です。そのためにはよく噛めるよう、むし歯や歯周病の治療や、歯のない方には義歯が必要です。運動も誰にでもできる散歩やジョギングをなるべく日課とするのが、適切ではないでしょうか。

高齢者の口腔ケア
高齢者共通の願いは「いつまでも、他人様のお世話にならず、元気で天寿を迎えたい」ことでしょう。それには最も手近で有効な方法があります。「よく噛む」ことです。
よく噛むことは脳への刺激となり認知症を防止します。口の筋肉を促して言葉を明瞭にします。食べ物本来の味を楽しめます。少量の食べ物でも満腹感が得られ、運動不足になりがちな方にも肥満防止になります。だ液の分泌を増やし、消化をよくするばかりでなく、発ガン性物質を減らします。
T∨でみる外国人の野球選手は打席に立つとき、ガムを噛んでいますね。噛むことで脳を刺激して集中力を高め言いるのです。はたから見て見苦しいガムはお勧めできませんが、噛むことが脳の働きを高めることは確かです。
噛みごたえのある野菜や蛸・イカなどの海産物、ソーセージなどの肉製品をよく噛めますか? それには丈夫な歯や、よく噛める入れ歯が必要で、お口や入れ歯の手入れが欠かせませんね。食べカスが残ると細菌が繁殖して、歯ぐきが悪くなり歯が揺れてきます。歯をきれいにするだけでなく、歯ぐきや舌、ほっべたや入れ歯など口の中のすべてをきれいにする口腔ケアをしましょう。口の中の感覚が刺激されて、麻痺して失われていた機能を回復するリハビリにも役立ちます。
歯の悪い方、入れ歯の方はやわらかい食べ物を選びがちですので、□の中が汚れやすく、口腔ケアが大切になります。また・高齢になるほど摂食や嚥下(えんげ)の働きが低下し、全身の感染に対する防御力も弱まります。こうした場合、直接死につながる誤嚥(ごえん)性肺炎−うまく飲み込めず、細菌の付いた食べ物が食道ではなく気管に入るため起こる肺炎−が起こります。これの予防にも口腔ケアが最も大切です。
脳卒中などの後遺症で麻痺が残る方は、自分では口腔ケアができません。そこで介護者の力が必要となります。介護保険制度(訪問介護サービス)を使って、口腔ケアが受けられますが、利用には制限があり申請が必要です。住んでいる市町村の窓口でお尋ねください。

人類と砂糖の出会い
人類が、初めて甘味料と出会ったのは、ミツバチのミツです。
その後、サトウキビからつくられる砂糖が、今日世界中で使用されている砂糖の大半を占めるようになってきました。
サトウキビの原産地は、たぶん東南アジア(インド原産説もあり)で、その後インドに伝わりました。
紀元前約1000年ごろのインド、バラモン教の教典にサトウキビの記述があります。
それがヨーロッパに持ち込まれたのは、紀元前334年、アレキサンドロスの東方遠征の時です。
その後中世の17世紀くらいまでは、その希少性と抜群の甘さから、どんな病気にでも効く万能薬として重宝されていたのです。
日本へは、8世紀に大陸(唐)からの渡来僧『鑑真』によってもたらされたとされ、大切な宝物として扱われていました。
室町時代に入ると、砂糖は中国から輸入されるようになり、菓子の原料として用いられ、羊羹などの和菓子が作られ始めました。
もちろん高価で、庶民が簡単に手にするシロモノではありませんでした。
江戸時代の初期には、奄美大島においてサトウキビが栽培され、その後、琉球でも栽培が始まりました。
このころから生産量も増え、やっと庶民の口にも入るようになってきました。
サトウキビ以外の砂糖は、テンサイ(サトウダイコン)などの植物から精製されるものが大半ですが、その技術が開発されたのは近代に入ってからです。
現代社会では、砂糖の過剰摂取による健康障害や、むし歯との関係が取りざたされていますが、その反面、疲労回復や脳の唯一のエネルギー源であるグルコースを含むなど効用も認められていますので、難しいところです。
ただ、砂糖摂取量とむし歯の出現との相関関係は歴然としていて、その理由はむし歯の原因菌は砂糖を工サに増加するからです。
そして砂糖は原因菌を歯の表面にくっつける働きもするので、二重の意味でむし歯をつくりやすくするのです。
やはり、どんなものでも摂り過ぎは健康にとって良くないですね。
私たちと数千年もの長いおつき合いの砂糖とは、今後もうまくつき合っていきたいものです。

よく噛むとこは健康のもと −心と体の発育に、長生きに−
朝日新聞によると最近、見た目や香り、栄養分を保ったまま、タケノコなど硬い食材を舌で漬せるほど軟らかくする技術を、広島県立総合技術研究所食品工業技術センターが開発したと報じられています。
昨年末から介護老人福祉施設で利用され、流動食に気の進まなかったお年寄りに好評とのこと。
更に食品メーカーがこの技術を利用して『やわらか食品』の商品化に乗り出したようです。
確かに流動食やきざみ食しか食べられなかった老人には、すばらしい福音に違いありません。
しかし、担当者が話すように「応用は無限大。今までの食事や調理に対する概念が変わる」とは素直に喜べません。
食事が不自由な老人も、噛むことで脳が活性化し、認知症が防げます。
噛むことで筋肉の萎縮を防ぎ、顎や頭の骨の老化退縮を防ぎます。
また歯ごたえは味の重要な要素で歯の根元にセンサーがあります。更にだ液の分泌にも、むし歯や歯肉の健康にも噛むことが役立っています。
食品の「とろける革命」は「よく噛む」という健康のもとを改めてアピールする必要性を示しています。
子どもや若い方には、噛むことはより大切です。
- むし歯になりにくい。よく噛むと歯に付いた細菌や砂糖分が落とされ、だ液の分泌もよくなるからです。
- 歯周病になりにくい。歯もマッサージされ、歯槽骨もしっかりします。
- 歯列不正にもよい。口のまわりの頬、唇、舌の筋肉が引き締まり、顎の発育もよくなります。
- 肥満児になりにくい。最近は成人病の予備軍のような肥満児が増えています。
- 知能の発育を促進する。噛むことは自然にできるようになるものではなく、生後の学習によることがわかっています。
- 心の安定により性格の形成に役立つ。心を病む人、非行少年の食事の速さは際立っています。心を癒すためにはまずゆっくりと食事を、といわれています。

歯の着色
2004年に潟Wーシー(歯科材料メーカー)が行った1万人アンケート調査で、「自分の口で満足していないことは?」の答えの第一位が「歯の色」だったそうです。
歯の着色(変色)の原因は内部からのものと、歯の表面に着色物質が着くものとがあります。
むし歯や外傷で歯髄が死ぬと分解した歯髄が内部に潜み込み黒くなります。
この場合は歯髄の治療をして中に漂白剤を入れることで容易に歯を白くすることができます。
表面に付いた着色物質は−実は意外にとれにくいのです。
歯の表面は常にペリクル(唾液のタンパク)層が覆っています。これは歯ブラシで除去できますが、すぐ再付着して歯を守っています。
ペリクルの様にカルシウムイオン(Ca++)やイオウの結合体(S−S)、口の中に入った色素、タンパク、金属イオン等が幾層も重なり、時間が経つと縮合反応を起こして強く固まります。
こうなるととてもとれにくいのです。
着色しやすい食品や薬物があります。
健康に良いというポリフェノールやイオウを含む食品、ビタミン類、殺菌剤のクロルヘキシジンやむし歯予防の弗化(ふっか)第ーすず、タバコのヤニなどです。
多くは日常生活で避けられませんが、着色物質が強く固まらないうちに清掃することが大切です。
また着色除去効果は低いものの、安全な除去用の薬用歯磨き剤が市販されているので利用されるとよいでしょう。
強い着色ができてしまった場合は歯医者さんのところでPMTC(専門的歯面清掃)でない ととれないでしょう
。他にマウスピース様の装置の内面に漂白剤を入れ、夜間などに装着するホームブリーチング法(ホワイトニングただし保険適用ではありません)があり、最近では新しい薬剤もでています。
着色は病気でなく害はありませんので、研究が遅れているのか、短時間で安全に強い着色を除去する方法がまだないようです。早く良い薬ができてほしいものです。

歯の麻酔について
歯科治療における局所の麻酔はごく日常的なものですが、それが怖くて歯医者にいけない方も現実にはおられるようです。
せっかく痛くないように施す麻酔がかえって患者さんにとってプレッシャーとして感じられるというのは残念なことです。
そこで歯科麻酔をリラックスして受けていただけるよう、その実態について解説をしていきましょう。
そもそも麻酔注射の針は0.2〜0.3mmと大変細いので刺入する際の痛みはほとんどありません。まずは安心して下さい。
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必要とあれば、刺入する場所にはあらかじめ表面麻酔剤を塗布することもできます。
また、麻酔薬もゆっくりゆっくり入れていきますので、入れる瞬間ほんの最初だけチク〜とするだけで十分我慢できるはずです。
現実に3歳ぐらいの乳幼児でも泣かずに受けているくらいです。
最近は注射器も手動だけでなく電動の器具も発売され、より刺激の少ない圧力で刺入できるようになっています。 |
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当院では針のない麻酔用注射器を使っています。 |
あとは緊張し過ぎたりしないことです。
あまりに緊張し過ぎると、ちょっとの刺激でも大きな痛みとして感じてしまいますので。
ただ、寝不足とか疲労など体調がすぐれない時は、麻酔後軽い貧血状態になって気分が悪くなったり、吐き気を催すことがあります。
薬に対してアレルギーのある方も含めてそのような場合には、治療内容の変更や日時変更などいろいろと患者さんの立場にたって考慮致しますので、ご遠慮なさらず事前にお申し出下さいね。

歯石って何?
人間の体を構成している水分には種々の石灰が溶け込んでいます。
それが固まると石状になり「結石」といいます。
腎臓、胆のう、膀胱などに結石ができると痛むことも多いので恐れられよく知られています。
歯の中の歯髄(神経と呼称する人もいます)に結石ができることもありますがむし歯どころか外傷(怪我)と比べても極めまれて稀です。
歯の周囲に付く結石が歯石です。
唾液の中に溶け込んでいる石灰が固まって付くのは、歯が口の中に露出している箇所ですから外から見ればわかります。
取り除いてきれいになれば自分でも分かります。
血液の中に溶け込んでいる石灰が固まって付くのは、歯肉の中ですから外から見えませんので、取り除きにくく、歯肉への害も大きく歯周病治療の大目標です。
歯の露出部と歯肉の中の境界部(歯茎部)に歯石がつくと歯肉は赤く炎症を起こし出血しやすくなります。
歯石のよく付く人は腎臓、胆のう、膀胱、尿道などの結石の例も多く、珍しく膵臓結石の人までいました。
そのことから筆者は結石症は骨粗しょう症や骨変性と同類のカルシウム代謝に関連した病気かもしれないと推理しています。
歯石はなぜ有害か?
歯石のついていない歯の表面はなめらかです。
歯石が付くと表面はぎらざらになります。
明石海峡のように海岸にそう遠くなく海の底に難破船が沈んでいたり、漁師がわざと石やブロックを沈めて複雑な形の海底にすると、魚が繁殖しやすく良い近海漁場になります。
温度が激変せず適度な降雨量があり海や川や山が近いところには人も多様な生物も住みやすく、砂漠や寒い高山や氷ばかりの地形には多くの種類の生物は住めません。
表面が滑らかな歯には多くの細菌は住みにくく、歯石が付いてざらざらの歯の表面は歯周関連菌群(バイオフィルム)が繁殖しやすい。
歯周病とはこれらの細菌群による感染症なのです。

心臓病や脳卒中の予防にお口のお手入れを!!
「フロス(糸ようじ)か死か!」こんなメッセージをアメリカのマスコミが発信したことがあります。
つまりお口のお手入れをおこたり死にたいですか、という何とも大げさな表現ですが、実は本当のお話です。
私たちの口の中には、何百種類、何億という細菌が住みついていて、互いに生存競争をしています。お手入れをおこたると悪玉菌が増えやすく、とりわけ重い歯周病の人の悪玉菌は、歯ぐきの血管にもぐり込んで血液とともに心臓や脳など全身を巡ります。
心臓の弁に付着して心内膜炎を起しますと、心臓の弁の形が変形して、血液を送り出す働きが弱まり日常生活が不自由になります。
また、冠動脈(心臓を養う血管)の内壁にアテローム性プラークという堆積物をつくらせ、動脈硬化や血管の流れを詰らせ、狭心症や心筋梗塞を起して命を縮めます。心臓に限らず、脳の血管で同じことが起こると、寝たきりになるかも知れません。
歯周病とこのような心臓や脳の病気との因果関係は、多くの日本やアメリカ、カナダの研究者によって発表されているのです。
口の中の悪玉菌をていねいにお掃除すれば、こんな恐ろしい病気で死ぬリスクが低くなるとは、グッドニュースではありませんか。
ぜひ上手にお手入れができるようになりましょう。
世間に広く知られているように、タバコの吸い過ぎや塩分の多い食生活も、もちろん心臓病や脳卒中、糖尿病などの危険因子で生活習慣に注意する必要があります。
同時に脳卒中や心臓病について不安をお持ちの方々は、歯周病のような口の中の細菌感染による治療もきちんと受けておかれることが大切になります。

夏も歯を大切に!
今年も暑い夏がやってきました。夏が好きな人には待ち遠しかった季節ですが、少し苦手な人々にとっては早く秋になって欲しいと願っているかも知れませんね。
真っ黒に日焼けした若者が白い歯をきらきら輝かせている健康な姿がうかびますが、夏の楽しみはマリンスポーツではないでしょうか。
特にスキューバダイビングを趣味にしている方は歯を非常に大切にされています。
歯が悪くなって入れ歯などになったりすると、最悪の場合、スキューバダイビングをあきらめざるを得ないこともあるそうです。
自分の頑丈な歯と唇とで器具をしっかりと保持する必要があるからです。
また、夏休みの宿題などでも家族で動物園へ行かれる方も多いのではないでしょうか。
王子動物園(神戸市)のサルの歯について面白い話を聞いたことがあります。
ボスザルが大きな歯を折ってしまい、ボスの座から転落したそうです。
可哀想に思った王子動物園の獣医さんが歯医者の技術を応用して、このサルに金歯を入れてやり、折れた歯を回復したところ、再びボスに戻れたそうです。
歯には他のサルを威嚇する働きがあるのです。
このように歯の働きには、食事をしたり、言葉を話したり、顔の形を整えたりする重要な役割のほか、趣味を持って人生を豊かにしたり、動物の場合は周囲ににらみをきかせたりする働きもあるのです。
夏パテに負けずに、大切な歯の手入れもお忘れなく。

定期的な検診で虫歯を防ごう
春になると、学校、会社では健康診断が行われます。
歯科の検診もあり、痛くないので安心していたら、「CO(シーオー)」と言われてアレレッと思った事はありませんか?
「CO」とは初期むし歯のことで、そのままでは進行し、治療しなければならなくなることがあるので、一度歯科医院で診てもらった方がいいですよということなのです。
歯の表面はエナメル質と呼ばれ、95%以上がハイドロオキシアパタイトという無機(それ自体生命力のない物質)の結晶で、残りわずかがタンパク質と水でできています。そのアパタイトの結晶が溶けることを脱灰と言います。
そして、溶けた部分はだ液などで修復します。
それを再石灰化と言い、食後の口の申では、その脱灰と再石灰化を繰り返しているのです。
初期むし歯は、そのエナメル質の脱灰がわずかに修復を上まったという程度で、フッ素塗布などで様子をみていけばいいと言われています。

歯科医院は、むし歯を削り、詰め物をするところという考えをお持ちのことでしょう。
でも、初期むし歯に対する歯の磨き方のチェック、フッ素塗布など、削らないで歯の健康を守っていく場でもあるのです。
必ずしも歯科医院へ行くように言われることはないかもしれませんが、それまでの歯の手入れでできたものですから、やはり改善すべきことがあるはずです。
これを機会に行った方が、将来のためにもいいでしょう。
新しい生活の始まりに歯科医院を訪れ、定期的な検診でむし歯を防ぎましょう。

明眸皓歯(めいぼうこうし)

唐の時代の楊貴妃は、その明眸と皓歯により時の皇帝玄宗の寵愛を得て皇后となる。
その後、貴妃の美しさに溺れた玄宗は政治を鑑(かんが)みず、ついには安禄山の乱を招き、楊責妃は殺される。
詩人・杜甫は、この悲劇を詩に詠み、「明眸皓歯今何処にか在る」と悲しんだとされる。
つまりは、美人の要件として、明るい眸(ひとみ)と皓(しろ)い歯が必須条件であるということです。
もちろんこのことは、女性だけに限るものではなく、男性にも当てはまります。
私たちは人に会う時、まず目元そして口元に視線がいくものです。
そして、その人の印象を脳裏に留め置くのです。
涼しげなまなざし、そしてにこやかなスマイルは、当然のことながら相手にとって好ましいイメージを与えます。
前歯にむし歯や歯肉炎があったり、歯並 びが悪かったり、歯の色が悪いとどうしてもそれがコンプレックスとなり、性格的にもふさぎこむこともあるとされています。
歯科医院でむし歯治療・歯周病治療・矯正治療・ホワイトニング治療などを受けて、家族もビックリするくらい明るく社交的になったとされるケースは、たびたび報告されています。
最近では、ホワイトコートなどと呼ばれる、マニキュアみたいに歯の表面に一時的(よくもって数力月)にお化粧をする治療も出現しているくらいです。
(実際のニーズは、結婚式を間近に控えた花嫁・花婿がとりあえず記念写真用に利用したり、歯科医が術前に患者説明用に模擬的に用いたりと、意外とあるようです。)
「いつまでも心身とも健康でありたい」というのは世の万人の願いです。
我われ歯科医療従事者は、“そんな皆さんのお役に少しでも立ちたい”と常に願っています。
どんなことでも、まずはご相談ください。
(注)上記の矯正治療・ホワイトニング治療・ホワイトコート治療は健康保険対象外です。

広げよう!スマイルの輪
TDL(東京ディズニーランド)やUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)などに行けばわかると思いますが、そこでショーをくりひろげているダンサー達が、よくもまあそんなに楽しいことがあるものかとあきれるほどの笑顔をしているのには、驚かされますよね。
しかし、ゲスト(お客さん)に今日一日しばし日常を忘れ、夢の世界に遊んでもらうためには必要な演出というのも十分理解できます。
極言すれば人が楽しそうにしている様は、まわりのみんなを幸福にするということです。
そして初対面の相手に与える心地良い印象というものは、身だしなみと同様に顔の活き活きとした表情や好ましい態度そして何よりも笑顔が重要視されるといいます。
スマイルの効用はそれだけではありません。
最近、巷間で伝えられているのが免疫力の冗進(こうしん)です。
ガン細胞をやっつけるナチュラルキラー細胞が増えるというもので、現在ガン患者の治療の一環として実際に実施されているということです。
ただ口元に自信が持てないと笑うにも抵抗があり、良いことがわかっていてもできないのも事実です。
前歯に不適合な修復物が入っていたり、歯並びが悪かったり、歯ぐきが炎症を起こして腫れていたりするなどの理由がそうです。
幸い歯科医院はそういった悩みを解決できる唯一の場所ですので、治療完了者にはここぞとばかりにスマイル・パワーの効力についてのお話をするべきですよね。
さあ、皆さんも今日から一緒に歯科医院から発信するスマイルの輪をどんどん広げていこうではありませんか! ほらっ、昔からよく言うじやないですか“笑う門には福来る”って。

歯の生涯図って何?
1994年に東京都衛生局が東京都歯科医師会を協力して調査した結果、年齢と歯の数との関係を%表にして示した図です。

図をご覧ください。縦塾は歯の数、横塾は年齢です。たとえば、50歳で25本の歯を保つ方は、50パーセンタイルの線の上にあります。その意味は50歳の方100人のうち、多く歯を持つ人から50番目(真中)です。10本多く持つ方は97パーセンタイル、100人中97番目で、そのまま過ごせば63歳で0本になることが予想されます。
では皆さん、ご自分の位置を探してみようではありませんか。10年後、20年後は何本くらい歯が残っているでしょうか。
成績が悪くても心配には及びません。予想値はあくまで、今のままで過ごせばという仮定のものです。悪くしないようにどうすればよいかを知り、歯医者さんの治療や定期検診など心がければ、今後1本も歯を失うことの無いようにもできるのです。
図からわかるように年齢の若いうちに歯数の少ない方ほど、歯の失い方はひどくなります。また50歳を過ぎてから歯の失い方がひどくなっています。気づいたときから5年でも10年でもブレーキをかければ、結果は大きく変わります。是非どうすれば良いか歯科医に相談してください。
参考資料:日本歯科医師会雑誌07年1月号 P51 「3.歯の生涯図を活用しよう」
図:東京都衛生局、1994

歯と牙
当たり前のようですが日本では歯です。でも、中国では「歯科医」にお目にかかれません。彼の地では「牙医」です。歯と牙、雰囲気はずいぶん違います。牙というと猛獣を連想しますが、歯というと草食動物の湯クリとした食事風景を思い浮かべる方が多いと思います。
歯の旧字「齒」を見ると、箱(口の形)の中は上下にわかれ、人という漢字が二つずつ並んでいます。これは本来、人という字ではなく上下に三角の歯が並んだ状態をあらわし、その上に"止"という字が乗り、シーと発音したときの前歯を表した象形文字に音のシが乗った形をしていました。中国の発音でも「止」はzhi、「歯」はshiでよく似ています。
一方、牙は私たちのイメージでは犬歯を指しますが、本来上下のはが噛み合わさった状態からできたものと考えられます。噛むということからすると、牙は臼歯に当たると言われています。ということは全ての歯を言う場合、歯牙というのが妥当なところ。日本では口元から見える、前歯を表すとと考えられる"歯"という漢字を選び、中国は噛む方の臼歯を選んで"牙"を用いているのは興味深いですね。
現代中国では一般的に、歯科医は牙医、歯周病は牙周病、歯垢は牙垢となりますが、歯根、歯冠、歯髄などの学術用語は日本と同じです。ちなみに、古代中国の書の中に「虫牙」という記述が見られます。古代人もむし歯の痛みに苦しんでいたことに、何か親近感を感じませんか。
※文中、語源の箇所は加地伸行・阪大教授の論文を引用させて頂きました。
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